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【大学院特別講義】第11回

「工業デザインとデザインの思考」を開講テーマとして、株式会社プレーンの代表でいらっしゃる渡辺弘明さんに特別講義をしていただきました。

講義の中で、渡辺さんがデザインしたナイフが出てきました。非常にシンプルで美しい形でした。必要最低限の要素のみを抽出し、それ以外はそぎ落としたようなナイフで、とても好感を持ちました。渡辺さんによると、デザインとはそれ以上単純化できないところまで削ぎ落とすことなのだとおっしゃっていて、なるほどなと思いました。そして、美しいものは結果美しくなったのであり、美を目的にすることはしないのだそうです。また、アイディアの発想法について、まずはどのような機能にしようかを考え、作ろうとしているものがどんな状況を作り出すかを言語化し、「風を浴びる」から「シャワーを浴びる」といったように、キーワードを抜き出して共通する他の行為と連想して考えてみるのだそうです。どのようにデザインを進めるか扇風機のデザインを例に説明していただき、発想のプロセスを学ぶことができました。

こう講義で一番印象に残ったのは、「常識」というとてつもなく強い力を疑うということです。言い回しが難しいですが、そういうものだと思っているうちはそのままでしかなく、発想もその域を出ないのだなと思います。その当たり前は以前に誰かが考えたものであって、それを土台に物事を考えてしまうと根本的に新しいものは生み出せない、と感じました。当たり前だという考えを持たない生活ができれば、どんなことに対してもオリジナルな考え方ができるでしょうが、ペットボトル一本にも当たり前は潜んでいます。常識を持たない生活などできません。だからこそひたすら観察するということが発想することにおいて大切なのだと感じました。観察が大事だということは渡辺さんもおっしゃっていたことですが、身の回りにありふれているものを見たときに、なんのためにそうなっているのかを考え、積み重ねることが必要だと感じたので、普段の生活の中で実践していきたいと思います。